第5話 ― RECEIVE「贈り物を抱きしめて」
夜の祈りの時間。
カードをシャッフルし、静かに手を伸ばすと「RECEIVE」が現れた。
そこには紅の衣をまとう女性と、寄り添う白きユニコーンがいた。
女性の手の中には紫の光を宿した宝珠が輝き、私を見つめ返していた。
カードに手を重ねた瞬間、ワンネスの扉がひらいた。
私は光に満ちた森の奥へと導かれていく。
夜空には蝶のような光の粒が舞い、木々の間から差し込む青白い輝きが、大地を柔らかく包んでいる。
その中央に、ユニコーンと女性が立っていた。
ユニコーンは私に近づき、額の角から静かな光を放った。
その光は、女性の持つ宝珠と響き合い、ひとつの大きな光の球体へと膨らんでいく。
そして女性は、私の胸に問いかけるように語りかけた。
「あなたは、本当に受け取る準備ができていますか?」
私は言葉を失った。
私は与えることに慣れながらも、受け取ることにはどこか戸惑いを覚えいたからだ。
「自分には値しないのではないか」
「まだ早いのではないか」
そんな思いが、心の奥に影を落とすことがある。
だが、ユニコーンの瞳はやさしく告げていた。
「あなたはすでに充分に値する存在です。愛も、豊かさも、祝福も。そのすべてを受け取ることを恐れてはいけません。受け取ることは、宇宙の流れに心を開くこと。あなたが光を抱きしめたとき、それはまた誰かの手へと流れていくのです」
女性は宝珠を差し出し、私はその光を両手で抱きしめた。
すると胸の奥に温かい泉が湧き出すように、柔らかな力が満ちてきた。
それは「与えられた贈り物」ではなく、「本来私の内にあったものを思い出す力」だった。
夜空に蝶の群れが舞い上がり、無数の光となって広がっていく。
私は静かに祈った。
「どうか、この贈り物の光が、今夜出会ったすべての人々のもとにも届きますように。
自らの価値を信じ、恐れることなく愛と豊かさを受け取れますように」
やがて光景は静かに溶け、私は自分の部屋に戻っていた。
胸の中には、確かに宝珠の輝きが残っている。
それはアカシックの記録の一頁――
「贈り物を抱きしめた夜」として、永遠に輝き続けるのだろう。
第5話 ― RECEIVE「贈り物を抱きしめて」
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