夜の祈りの中で、私の手に導かれるように現れたのは「PROSPERITY」のカードだった。
胸の奥に澄んだ風が吹き抜けるような感覚が広がる。
カードに手を重ねると、ワンネスの扉がひらく。
気がつけば私は雲海の上に立っていた。
大地ははるか下に沈み、白銀の雲が果てしなく広がっている。
その中央に、光をまとったユニコーンが立っていた。
角は星のように輝き、蹄はしっかりと岩を踏みしめている。彼は高らかに嘶き、天へと呼びかけるように首を掲げた。
雲の彼方から、虹色の光が降り注いできた。
それは金銭や富そのものではなく、宇宙からの「繁栄のエネルギー」。生命が巡り、心が満ち、未来が育まれていく力そのものだった。
私はその光に包まれ、胸の奥が温かく膨らんでいくのを感じた。
「繁栄とは、与えられる恵みをただ受け取ることではありません」
ユニコーンが静かに告げる。
「それは、愛をもって流れを巡らせること。あなたが手にする富は、あなたを潤すと同時に、誰かを癒し、また次の豊かさを生み出すのです」
私は思い出した。
鑑定で出会った人々の言葉、涙、そして感謝。
それらもまた「見えない富」だった。心に触れた瞬間に生まれる温もりこそ、何にも代えがたい宝であったのだ。
そしてその宝があるからこそ、現実の世界にも豊かさの流れが形となって現れるのだ。
雲海の上を虹の橋がかかり、ユニコーンは軽やかに歩み出した。
私はその後を追い、胸の奥で祈り続けた。
「どうか、この繁栄の光が、今日ご縁をいただいたすべての人々へと届きますように。
その心が潤い、明日を生きる力となりますように」
やがて光の粒は雲を抜け、地上の町や人々へと降り注いでいった。
誰かの手の中に温かな贈り物となって現れ、誰かの心に安心の笑顔を咲かせていく。
私はその循環を見届けながら、確信した。
繁栄とは「流れ」であり、「愛の循環」なのだと。
目を開くと、私は再び自分の部屋に戻っていた。
けれど胸の奥にはまだ、雲海を越えて受け取った豊かさの光が輝いている。
それはアカシックの一頁に刻まれた記録――
「雲海を越えて繁栄を受け取った夜」として、永遠に残り続けるのだろう。
第3話 ― PROSPERITY「雲海を越えて」
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